Siena

シエナ

かつてフィレンツェと熾烈なライバル関係にあったシエナは、当然の事ではあるがフィレンツェとは方向性の違う文化を発展させ、独特の雰囲気を持つ町を作り上げた。

フィレンツェとは車で1時間足らずの距離にありながら、ルネッサンス様式の建築や芸術作品が中心の優美なフィレンツェに対し、直線的で威厳のあるゴシック様式が中心のシエナは、どこか厳かな雰囲気が漂いとても対照的だ。町の中心であるカンポ広場は世界で最も美しい広場とも言われ、正面にそびえる塔が象徴的なプッブリコ宮、そして中世の美しい建物に囲まれ、その広さ、美しさ、厳かさは圧倒的なものがある。また典型的なイタリアンゴシック様式で建てられたドゥオーモは贅を極め、その外観も内部も、また見るものを圧倒する。

 町としてはそれほど大きくなく、徒歩で存分に散策できるシエナへは、シーズンを問わず世界中から多くの観光客が訪れている。町の中も中世の雰囲気を色濃く残しており、かわいらしいブティックを眺めながらの散策は実に楽しい。

シエナを含め多くのイタリアの町は都市国家として長い年月を積み重ねてきた。ここシエナではバリオという伝統的な馬の競争が毎年行われ、町中の人々が熱狂するのだとか。トスカーナで感じる、何処か地に足がついた感じは、長い年月をかけて培われてきた文化の賜物なのかも知れない。