Pienza

ピエンツァ

オルチャ渓谷を望む丘に作られた小さいながらとても美しい町、ピエンツァ。世界遺産にも登録されているこの町は、15世紀、ピエンツァ出身のローマ法王ピウス二世が、当時ルネッサンスを代表する建築家で教皇庁の建築顧問として活躍したベルナルド・ロッセッリーノに命じて作らせた理想の町。

10分も歩けば町の反対側の城壁に着いてしまうようなかわいらしい町だが、大聖堂やピッコロミニ宮を中心としたとても美しい佇まいに魅了される。石畳の通り沿いにはブティックやレストラン、エノテカなどが並び、石造りの趣ある街並みには花がたくさん飾られてとても素敵な雰囲気。町の所々から「これぞトスカーナ」といった感じの美しいオルチャ渓谷の景色も垣間見ることができ、歩いているだけで幸せな気分になれる。トスカーナで最も美しい町と言っても過言ではないだろう。

ここピエンツァは、羊の乳から作る熟成タイプのハードチーズ、ペコリーノチーズの発祥の地としても有名で、町の中には多くのチーズ屋さんが点在している。ひとつ1ｋｇ以上のものがほとんどなので、お土産には少し重たいが、味は「絶品」。その場で密封パックをしてくれる店もあるので、チーズがお好きな方は是非ひとつお求めになることをお勧めする。ペコリーノチーズをつまみにトスカーナの有名ワイン、ブルネーロ・ディ・モンタルチーノを飲めば、それはそれは最高のマリアージュ。

 奥まった路地の一角で、瓦にトスカーナの風景を描くアーティストのアトリエを見つけた。まっすぐに伸びる糸杉、オルチャ渓谷の風景、美しい花々、そして青空などが描かれた作品を見ていると、何だかスッとその景色に吸い込まれそうになる。トスカーナの豊かな大地のイメージは、すべての人々にとっての心のふるさとなのかも知れない。