Cortona

コルトーナ

高台の頂上に作られた坂の町、コルトーナ。その起源は紀元前5世紀頃のエトリアル人の町まで遡るという、イタリアの中でも古く重要な町だそうだ。

 町にたどり着くには、長いワインディングロードを昇り、城壁の中からは急な坂道をひたすら歩いて登る。荷物を持っていたりすると、かなりきつい上り坂だ。何とも年季の入った石畳を昇ると、ようやく平らな広場に着く。そこがこの町の中心、レプッリカ広場とそれに続くシニョレッリ広場。そして平らだった広場もつかの間、また急な上り坂が高台の上まで続き、他方では別の方向へ降りる急な下り坂となっている。そう、町中すべてが坂だらけなのだ。よくこんな場所に町を作ったものだ、そして、よくお年寄りまでも住んでいるものだ、息の上がった体で思わずそんな事を思ってしまう。

しかし、しばらくこの町を歩いていると、何か昔懐かしい空気に包まれ、次第にこの町の魅力に惹かれていく自分に気づく。控えめに飾られた花々、時折響く教会の鐘、素敵に飾られた狭い路地、昔ながらの素敵なレストラン、人懐こい人々・・・

 アメリカ映画の舞台ともなったこの町は、決して観光の町ではない。しかし、この町には何かトスカーナの魅力が凝縮されているかのように感じられる。おごらず、飾らず、不便な中でも自分たちの町を大切に思いながら、ゆったりと丁寧に暮らしている人々・・・時の流れは、私達が思うよりもずっと、ゆるやかなのかも知れない。そう気づかせてくれる町、コルトーナ。